母校のニュース(2001年)

松浦虔士教授最終講義

 電気工学専攻教授・松浦虔士先生は,平成13年3月31日をもって定年退官されました。ご退官を迎えられるにあたり,最終講義が平成13年1月30日(火)午後3時より電気系メモリアルホールにて行われました。当日は,学内のみならず,卒業生・共同研究者等,学外からも多数聴講に来られました。電気工学専攻長の伊藤利道教授より松浦先生のご略歴が紹介された後,「体験的電力技術論」と題する90分の講義が始まりました。まず,犬石嘉雄先生のご指導のもと電気工学科・電気工学専攻修士課程において半導体の放射線損傷の研究を行われた後に,昭和37年に住友電工(株)に入社され,超高電圧電力ケーブルの黎明期における研究開発から実用化に至るまでの全てに携われたことについて述べられました。この過程において,演題にもある「体験」について電力ケーブルというものを五感で体験したことをもとに,机上の調査研究だけでは得られない実学の重要性について説かれました。昭和52年に大阪大学に助教授として就任されてからは,これらの「体験」をもとにして,電力の発生・伝送・変換・制御の広範囲な課題に取り組まれ,多くの業績を残されたことを述懐されました。また,電力・エネルギー分野での研究「体験」を通じて,わが国の「電力技術」は世界に対して大きく貢献しているが,新技術の創出といった面での貢献度が低いことを指摘され,その原因を日本人の国民性にあることまで言及されました。最後に,21世紀の「電力技術」はエネルギー・環境・経済・倫理の調和的解決といった困難な課題に直面しており,技術の社会性を重視し多軸的に研究開発を展開すべきであると結ばれました。

 講義終了後,先生のご指導に感謝の意を込めた花束贈呈が,研究室の富岡佳秘書から行われ,大きな拍手に包まれながら退場されました。なお最終講義の後,電気系会議室において松浦先生を囲んだ茶話会が開かれ,約2時間にわたり和やかな雰囲気での懇談がおこなわれました。

(舟木 剛(電気・平3、M5)記)
会報澪電No.22より

濱口智尋教授最終講義

 電子工学専攻教授・濱口智尋先生は、平成13年3月31日をもって定年退官されることになりました。ご退官を迎えられるにあたり、最終講義が平成13年 2月16日(金)午後2時より電気系メモリアルホールにて行われました。電子工学専攻長の吉野勝美教授より濱口先生のご略歴が紹介された後、「半導体の研究から得たもの」と題する講義が始まりました。講義の前半では、大阪大学工学部電気工学科在籍中から始められたマイクロ波を用いた半導体の研究の話から、順に時間を追って、これまで先生が行われてきた研究内容の紹介をされました、世界に先駆けたガン効果に基づく微分導電率の測定法を提案され自ら実測されたというような初期の研究内容から、近年のヘテロ構造素子や微細構造素子に関する研究内容までを話されました。半導体デバイス工学、半導体物理学の非常に広い範囲に渡る数多くの研究成果を紹介されたのですが、それぞれの研究において、共同で仕事をされた学生の、名前のみならず、どのような学生であったかまでを詳細にご記憶されており、先生の教育に懸ける情熱を改めて思い、深い感銘を受けました。講義の後半では、先生と親交の深い海外の研究者を40枚あまりの写真を交えて紹介されました。写真で紹介された海外の研究者だけでも20名を越え、先生の親交の広さを再確認すると同時に、常に、世界基準でみた研究を心掛けて来られた研究姿勢を伺い知ることができました。最後に、大阪大学で楽しく無事に教育・研究生活を過ごされたことについて感謝の言葉を述べられ、講義が終了しました。

 講義終了後、先生の長年のご指導への感謝の意を込めた花束が研究室の野村友子秘書より贈られ、大きな拍手に包まれ、先生はご退席されました。なお、最終講義の終了後、別室にて、濱口先生を囲んだパーティが開かれ、和やかな雰囲気での懇談が行われました。

(森 伸也(電子・昭61、M63、D平3)記)
会報澪電No.22より

西原浩教授最終講義

 電子工学専攻教授 西原 浩先生は、平成13年3月31日をもって定年退官されることになりました。ご退官を迎えられるにあたり、最終講義が平成13年2月1日(木)午後3時より電気系メモリアルホールにて行われました。他専攻や学外も含めた多数の聴講者がありました。電子工学専攻長の吉野勝美教授から西原先生の御略歴が紹介された後、「光デバイス研究40年」と題する90分の講義が始まりました。

 まず先生が大学に入学された頃の科学技術情勢と本学電気系を概観して、マイクロ波電子管をテーマとして研究を始められた経緯に触れられ、学部・大学院での進行波管の結合らせんの結合長測定、動作パラメータ測定の研究について話されました。また大きな影響をうけた書籍としてSommerfeld著「偏微分方程式論」と 賀川豊彦著「宇宙の目的」を紹介されました。

 続いて助手・講師時代にレーザの分野に研究対象を移された経緯を述べられ、カナダ国立研究所で従事された炭酸ガスレーザの研究と多国籍研究者との共同研究の体験について話されました。この頃の光デバイスの重要な進展の紹介の後、ご帰国後の新テーマでの研究について概説されました。炭酸ガスレーザの小型化に取り組まれ導波型炭酸ガスレーザを開発されました。またホログラムメモリの研究を展開され、その技術を応用した光結合器「ホロカップラ」や「マイクロフレネルレンズ」の提案と先駆的研究をされました。導波路ホログラムの研究や、電子ビームによるグレーティング作製について紹介され、初めて作製したグレーティングが虹色に光ったときの喜びを回顧されました。光ファイバを用いたレーザドップラ血流計測の共同研究は医学上の成果も得られ、速度計測用光集積回路の研究に発展しました。研究室で行われた光素子作製用の電子ビーム描画装置やレーザビーム描画装置の開発、集積光ディスクピックアップ、熱光学効果光制御デバイス、光接続デバイス、波長変換デバイス、導波路レーザ、半導体光集積デバイスなど多くの光デバイスの研究、および学外での発展例も紹介されました。

 40年の研究生活を振り返って再び結合らせんに話題を戻され、分布結合のように重要な問題を理解しておくと種々の応用が展開できて面白いとの感慨を述べられました。また光エレクトロニクスの成長期を体験され、光集積回路の発展に寄与されたことのご自負を述べられ、大学での研究の楽しさと技術の種をつくることの重要さを強調されました。

 さらに超高圧電子顕微鏡センター長を務められたご経験により、同顕微鏡の歴史と現状を紹介され、研究者の協力関係の重要さを強調されました。また附属図書館長として取り組まれた本館新築や電子図書館化について述べられました。顧問をされたBibleクラブも紹介されました。最後に先生のご趣味であるスケッチを披露され、大阪大学で受けられた支援に感謝の言葉を述べられました。以上のように豊富な内容の講義を終えられると全員から大きな拍手が送られました。

 講義終了後、先生のご指導ご貢献に感謝の意を込めた花束贈呈が研究室の芳崎由佳秘書から行われ、再度の大きな拍手に包まれました。先生が心血を注いでこられた光デバイスの発展と先生の幅広い貢献が実感できた感銘深い最終講義でした。なお、最終講義終了後、別室で西原先生を囲んでパーティが開かれ、和やかな雰囲気で懇談が行われました。

(栖原敏明(電子・昭48)記)
会報澪電No.22より

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Last-modified: 2010-03-12 (金) 18:49:05 (5934d)